
林 瑞恵
日本
CAREER 2008年4月入学、2010年3月修士課程修了
学部時代は建築を学んでいました。終末期医療を提供する病院設計に取り組むなかで、病院建築というハード面のデザインが、病院で患者と家族が受けることのできる経験を限定的にしていることに疑問を感じ、大学院では人の生活に柔軟に対応することが可能なサービスデザインに取り組みたいと考えるようになりました。
奥出直人教授の「メディカルプロジェクト」では、地域医療が抱える課題を探るために、大学病院、医師会、地域の開業医と協力してフィールド調査を行いました。例えば、在宅医療を行っている医師の訪問診療に同行し、観察を行い、医師、患者、家族など、関わる人々自身が気づいていない潜在的な課題を探りました。その調査結果をデザイン思考の手法に基づいて分析し、在宅医療関係者間の連携を促進するためのアプリケーションと、退院支援を行うWebサービスをデザインしました。企業と連携してコンソーシアムを設立し、デザインしたサービスを実際に社会に展開することにも力を注ぎました。
現在はNTT の研究所で、コンピュータ同士が通信するM2M の時代に収集される多様なデータを、個人利用のみではなく、地域コミュニティで利活用することで、地域や社会を豊かにするという目標を持ったグループに所属しています。実世界でのコミュニティをより活性化するために、集団におけるコミュニケーションの特徴を分析し、必要な技術開発に取り組んでいます。将来的に、私個人としては、医療、介護などの分野で必要となる技術開発と、開発した技術のサービス化に取り組みたいと考えています。
KMD で習得したことは、世の中に貢献したいという思いを実現するための、私自身の基盤となっています。
(本記事は2012年3月に作成されたものです。)