微生物動態を活用した可変型バクテリアインクの建材塗装への応用

2026/07/01

経済産業省所管 IPA「未踏アドバンスト事業」採択

SAMCARAプロジェクト

リサーチャー:杉浦真也

共同研究・共同開発に関するお問い合わせ

masaya69@keio.jp

微生物動態を活用した可変型バクテリアインクの建材塗装への応用

https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/advanced/2026first/gaiyou-ur-1.html

本プロジェクトは、バクテリアインクの社会実装を目的とし、日本における新たな建材塗装技術としての可能性を探究する取り組みである。

近年、建材塗装や工業用インクの分野では、石油由来原料への依存やVOC排出、再塗装時に生じる環境負荷が課題となっている。また、世界情勢の変化に伴う原材料不足により、工業用インクの供給不安も生じている。

一方、人類は古くから発酵や医薬品の分野を通じて微生物を活用してきた。日本においても、味噌や日本酒などの醸造文化に代表されるように、微生物は文化や産業を支える重要な存在である。しかし、バクテリアの成長や軌跡そのものを「生きたインク」として建材表現へ応用する試みは、これまでほとんど行われてこなかった。

本プロジェクトでは、バクテリアが形成する構造色バイオフィルムに着目し、微生物由来の色彩を建材塗装へ応用する。従来の塗装技術が均質性や耐久性を重視してきたのに対し、本プロジェクトでは環境との相互作用によって生じる変化そのものを設計対象として捉える。形成条件や定着方法を検討しながら、変化の持続性と鑑賞性を両立した新たな建材表現の可能性を探究する。

さらに、建材・塗装分野との連携を視野に入れ、試作、評価、実装検証を段階的に進めることで、建築空間への応用可能性を検証する。本プロジェクトは、バクテリアを単なる素材としてではなく、環境に応答しながら表情を生み出す「共創主体」として捉えることで、人間と微生物の関係性を再定義する試みでもある。

最終的には、環境負荷の低減と感性価値の創出を両立した次世代の建材塗装技術として、バクテリアインクの社会実装を目指す。

関連プロジェクト・助成実績

CHROMA LIFE PROJECT

本プロジェクトとは別に、「CHROMA LIFE PROJECT」において、令和7年度に以下の助成事業へ採択されている。

松浦芸術文化財団

https://matsuura-foundation.org/business/#result

花王芸術・科学財団

https://www.kao-foundation.or.jp/art/art_assistresult/

100BANCH 

https://100banch.com/projects/chroma-life-project

Future Materials Bank

https://www.futurematerialsbank.com/material/cytophaga-lytica-iron-bacteria-cyano-bacteria/

本助成は、「バクテリアインクと活版印刷の融合」を主題とした芸術制作・表現研究を対象とするものである。京都の和紙職人や印刷会社(修美社)との連携による素材研究、あぶらとり紙を用いた印刷表現の実験、ワークショップ、展示、アーカイブ制作などを実施している。

したがって、CHROMA LIFE PROJECTは芸術表現を主軸とした研究プロジェクトであり、建材塗装への社会実装を目的とする未踏アドバンスト事業とは、研究目的および実施内容の異なる独立した取り組みである。