慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)は、2025年の国際バイオデザインチャレンジ(International Biodesign Challenge)ニューヨーク大会でファイナリストに選出されました。
KMDチームの応募作品は、日本原産でありながら海外では侵略的外来種とされる海藻「ホンダワラ(Sargassum muticum)」を活用した革新的なプロジェクトです。チームは、この環境問題を「生けるバイオテキスタイル」へと転換し、海との深い文化的つながりを「適応型ユニフォーム」に織り込みました。抽出した天然成分は、紫外線防護・抗酸化・抗菌効果を持ち、外来種問題と農業従事者の健康・安全ニーズの双方に応えます。海藻由来のゲルやコーティング、3Dプリント生地を用いたRisouの衣服は、日光や汚染、着用者の行動に反応し、酸性水では色が濃くなり、紫外線を遮断し、環境配慮が損なわれるとほつれて土に還るなど、自然と人間の間に結ばれた「生分解性の約束」として地球に戻ります。
衣服が地球への責任を可視化する未来を描くとともに、RisouはSEGOのユース・コクリエーションラボと連携し、バイオマテリアル・イノベーションや循環型デザイン、日本の「自然(じねん)」哲学を学ぶ教育プラットフォームとしても機能します。理藻の未来は海への敬意から始まることを、次世代に伝えています。
—
国際バイオデザインチャレンジ(IBC)について
国際バイオデザインチャレンジ(IBC)は、生物学・デザイン・エンジニアリングの交差点で、大学チームが革新的なソリューションを構想・設計・プロトタイプ化する世界的なコンペティションです。学生たちは科学者やアーティスト、業界専門家と協働し、サステナビリティや健康、環境など現実的な課題にバイオテクノロジーの社会的可能性を示す創造的なプロジェクトで挑みます。
https://www.biodesignchallenge.org/
KMD SAMCARAラボについて
SAMCARAラボは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)に設立された研究グループで、循環型デザイン、バイオデザイン、マテリアル・イノベーションを専門としています。学際的なコラボレーションを重視し、循環経済のための新しい言語や方法論を探求。持続可能な素材や生物由来のソリューション、先端技術の統合に取り組み、複雑な社会・環境課題にクリエイティブかつ横断的な専門性で応える次世代デザイナーの育成を目指しています。













