KMDで学ぶ日々をどのように過ごしている?
将来の夢は?
6名の学生たちが本音で語ります。

ノラスコ・ダーリーン・ハナ・ジェイン
フィリピン
修士2年
参加プロジェクト:SAMCARA

山野 ひかり
日本
修士2年
参加プロジェクト:Network Media

ブルジョワ・ステファニー・ジョセ・マルコット
カナダ
修士2年
参加プロジェクト:PLAY: Entertainment Media Design

堀井 玲耶
日本
修士2年
参加プロジェクト:Embodied Media

浅田 風太
日本
修士2年
参加プロジェクト:Embodied Media

トムセン・ラグナー
ドイツ
修士2年
参加プロジェクト:Embodied Media
―KMDに入学した理由を教えてください。
山野: 大学時代はアメリカ哲学を学んでいたのですが、現代の問題や未来の役に立つような研究にシフトしたいと思いました。KMDは大学での研究分野を問わない門戸の広さがあったので応募しました。
浅田: 僕は理系単科大でスーパーコンピュータの研究をしていました。もう少しユーザーに近い分野に取り組みたいと考えていたとき、大学の先生が「KMDなら包括的に学べる」と教えてくれました。
ラグナー: 学部時代はドイツでゲームデザインを学んでいましたが、その後もっと広い視野でインタラクティブな体験を勉強したいと思うようになりました。ドイツにはデザインの観点からテクノロジーを学ぶコースが少なく、調べるうちに日本のKMDを見つけました。
堀井: KMDのEmbodied Mediaで、デザインやテクノロジーを使って人の心を表現したいと思って入学しました。また自分のテーマが異文化コミュニケーションなので、半数が海外留学生だというKMDの環境は自分のトピックに重なると思いました。

―普段はどのような学生生活を送っていますか。
山野: 修士1年のときは授業の課題やリアルプロジェクトが忙しく、修士2年になってようやく自分の研究に集中したり、自分の時間が取れています。学外の活動としては、出身地の福井県で地域活性化のプロジェクトに取り組んでいます。
浅田: 学会を控えているときは研究室に泊まりこんで開発することもあります。今は、起業した会社がまもなく新しいサービスをローンチするのでかなり忙しいです。ほかにも音楽バンド活動もしていて、それらがすべて関係しながら進んでいる。同じ日がまったくない生活です。
ラグナー: 日本企業との共同研究に関わっていて、外に出る機会も多くとても充実しています。日本に住んで1年半になりますが、東京や横浜で毎日新しいものに出会って刺激を受けています。KMDのある日吉の下町エリアもとても居心地がよくて好きですね。
ブルジョワ: 新型コロナによって、今年は最初の学期のようにキャンパスで過ごすことができませんでした。キャンパス外で勉強するだけでなく、自宅でフリーランスのメディアアーティストとして活動していて、クライアントであるインフルエンサーのグラフィックデザインやビデオ編集をしています。
堀井: 新型コロナで学会発表も授業も、就活の説明会もすべてがオンラインになりました。でもこの状況をポジティブにとらえて、違うプロジェクトのメンバーや社会人に積極的にコンタクトをとっています。そこから新しいプロジェクトが始まるなど、楽しいことが起きています。

―KMDで印象に残っているイベントやプログラムはありましたか。
浅田: 例年、Embodied Mediaの修士1年生は,VR開発者にとって登竜門的な存在であるIVRCに参加します。IVRCへの参加を通じて身体性メディアの本質を理解したり、チームで開発する大変さを学ぶことができます。苦労してつくったものを使ってもらい、人の喜ぶ顔を見られるのはとても貴重な体験です。
ノラスコ: 私が所属するSAMCARAもたくさんのコンテストに参加します。なかでも大きいものは「バイオデザインチャレンジ」。今年、私たちが応募した作品がコンテストの5周年を記念する書籍で取り上げられて、とても印象深かったです。
山野: なんといってもKMDフォーラムですね。各自が取り組んでいる研究を持ち寄って、いろいろな人に見てもらえるとてもいい機会です。外部の人に評価してもらえるのもいい経験ですし、普段はあまり話をしない学生の研究に刺激を受けたり。イベントの準備も学生が中心になって行います。マネジメントや設営などやることが多くて大変ですが、プロジェクトの壁を超えてより踏み込んだ交流ができます。

―海外学生とのコミュニケーションはスムーズですか。
ブルジョワ: 私は日本語を話せないので、英語を話す学生と一緒にいることが多いです。授業や生活で不便を感じることはありませんが、もっと多くのネットワークを築きたいので、残りの時間で日本語を少しでも話せるようになりたいです。
ラグナー: 確かに、海外留学生はせっかくなら日本語を学ぶといいと思います。KMDには日本語を学ぶシステムや、日本人によるチューター制度もあります。オープンマインドで好奇心旺盛なら、さまざまな国の文化について学ぶ機会があります。ここは誰もがフレンドリーなので、積極的に行動すれば、KMDは世界中の友達を作るのに最適な場所です。
ノラスコ: 仲のいい日本人学生もいるけれど、もっとたくさんの学生と交流したい気持ちはあります。第一言語が英語でなくてもお互いを理解したいという意欲はある。あとはそれを行動に移すだけですね。
堀井: 異文化交流の環境は整っているけれど、それをどう使うかはその人次第。リアルプロジェクトでは、言葉の壁があってもやりたい方向が一緒であれば自然にコミュニケーションはできると思います。

―これからKMDを目指す人に向けてアドバイスをお願いします。
堀井: まず、柔軟であること。KMDはバックグラウンドが異なる人とコラボレーションする機会が多いので、さまざまな意見に対して柔軟に対応したり、手を差し伸べる姿勢が大切です。それから、自分をよく知ること。情報量の多い環境なので、自分の軸がないとひとつに決められないんです。オーナーシップを大事に、最後までその研究をやり切る力は持っていたほうがいい。
ノラスコ: KMDは自分自身がイニシアチブをもって、やりたいことに専念することができる場所です。誰かに何かを与えられるのを待っていたら何もできないまま終わってしまいます。
山野: 入学前に在学生や先生に話を聞く。そして「入学したらこういうことをやる」というイメージを描いておくといいかも。KMDにはさまざまな分野、活動、学生がいて、チャレンジングな研究ができますが、目的がないとその環境を活かせないので。
浅田: 実際に僕が「やっておけばよかったな」と思ったのは、どんな学生がいてどういう研究をしているかを下調べしておくこと。2年間を有効に使うためには、どこに行けば何ができるかを知っておくと、入学してからスムーズに動けますよ。
―将来の夢を教えてください。
ラグナー: ソーシャルロボットを介して、遠くにいる人でも近くにいるように感じられるようにする研究をしていて、今開発しているテクノロジーを未来で活用できるようにしたいです。
ノラスコ: 持続性科学(Sustainability Science)の分野で博士課程に進みたい。そして政府や企業がサステナビリティを推進していくための役に立ちたい。特に、日本を含むアジアに目を向けていきたいです。
ブルジョワ: メディアアーティストとしての活動を続けていきたいですね。できれば日本で会社を立ち上げて、ソーシャルメディアのインフルエンサーのコンテンツ作成を支援するのが夢です。日本のインフルエンサーが国際市場向けのコンテンツを作成し、国際的なインフルエンサーが日本のオーディエンスの興味を引くコンテンツを作成するのに役立てることができれば理想です。
山野: 卒業後はIT関連の企業に就職します。また地方をテーマにした活動をしてきたので、仕事をしながらでも地方や地元に貢献できる活動は続けていきたい。
浅田: まずは起業した会社を軌道に乗せたい。ユーザーと一番近い距離で対話し、一緒に何かをつくっていく。そういう会社やそういう人になることを目指していきます。
堀井: 自分のテーマが「境界線をなくしていくこと」、それはこの先も変わらないと思います。言葉の壁があっても海外の人が日本で暮らしやすくなるよう、ITの力で実現していきたいです。

※ 本記事は2020年11月に取材したものです。