KMDで学ぶ日々をどのように過ごしている?
将来の夢は?
7名の学生たちが本音で語ります。

小川 泰正
日本
修士2年
参加プロジェクト:Embodied Media

オガサワラ・デ・オリヴェイラ・ルーカス
ブラジル
修士2年
参加プロジェクト:Embodied Media

近藤 杏丹花
デンマーク
修士2年
参加プロジェクト:PLAY

山口 泰朋
日本
修士2年
参加プロジェクト:Future Crafts

王 七音
日本
修士2年
参加プロジェクト:Embodied Media

万 欣
中国
修士2年
参加プロジェクト:Global Education

スキスケカー エーワー
ポーランド
修士2年
参加プロジェクト:Geist
―KMDに入学した理由と現在のプロジェクトを教えてください。
小川: 工業高専で工学の勉強をしていました。学生ベンチャーに参加して、就職か進学か迷っていたとき、工学以外にも、デザインやマネジメントなど幅を広げたほうがいいのではと考え、先生や先輩に相談するなかでKMDを知りました。Embodied Mediaでは、僕が長年続けているストリートダンスとエンジニアリングを組み合わせて、初心者でもダンスの楽しさを体験できるデバイスを研究しています。
王: 大学を卒業した後、IT企業に就職しました。その会社が社内でアクセシビリティに積極的に取り組んでいたことに感銘を受けて、テクノロジーの力で問題解決に貢献したいと思い立ち、KMDに入学しました。Embodied Mediaでは、触覚技術を使って人間の精神面にアプローチするための研究を行っています。
万: 慶応大学の経済学部に通っていたときにKMDフォーラムで面白そうなプロジェクトや先輩と出会い、KMDに進学したいと思いました。当初、自分の研究テーマはあまり明確ではなかったのですが、リアルプロジェクトに参加するなかで教育分野に対する興味が深まりました。Global Educationでは、食やサステナブルにまつわる教育について研究しています。
オガサワラ: ブラジルのカンピーナス州立大学芸術院を卒業後、映画業界でフィクションやドキュメンタリー映画の制作に携わりました。次のステップとして、エンターテインメントとは異なる分野での可能性を探りたいと思い、日系ブラジル人コミュニティの奨学生としてKMDに来ました。Embodied Mediaでは、HCI(ヒューマン・コンピューター・インタラクション)と人種やジェンダーなどの社会問題を調査し、ロボットやハプティクスなどのテクノロジーを組み合わせた研究を進めています。
近藤: 私はデンマーク出身で、デンマークの大学ではメディアデザインを学びましたが、ずっと日本で勉強したいという想いがあったので卒業してKMDに進学しました。PLAYでは、通信企業とコラボレーションをして嗅覚について研究しています。
山口: 大学ではデザインを専攻していましたが、卒業後の進路を悩んでいました。KMDに在学していた友人からKMDの話を聞き、デザイン思考や経営戦略についても学びたかったのでKMDはぴったりだと思いました。Future Craftsでは、自分が北海道出身ということもあって、先住民であるアイヌの人たちに向けて新しい学びの体験を提供する機械学習などの研究を行っています。
スキスケカー: もともとアジアの文化に興味があり、特に日本は技術に強いイメージがあったので、日本の大学に進みたいと考えていました。なかでもKMDは興味深い研究テーマがたくさんあって、自由な雰囲気も魅力でした。Geistでは、ハプティクスによるダイビングスーツの開発を研究しています。触覚でユーザーに周囲の情報を伝え、安全に水中をナビゲーションするものです。


―普段はどのような学生生活を送っていますか。
近藤: 入学して最初の学期がすべてオンラインだったので慣れるのに苦労しましたが、2学期からはキャンパスに行くことが増えました。普段はプロジェクトルームの学生アシスタントをやっていて、プロジェクトメンバー以外の学生とも話す機会が多いです。
スキスケカー: 私も、行動制限があったため、はじめはあまり他の生徒と交流ができませんでした。少しずつ対面の授業が増えてきて、柔道とパワーリフティングのサークルに入り、友達がたくさんできました。キャンパスには週4日通って、休みのときに遊んだり、アルバイトをしています。
山口: 2022年に入ってようやくプロジェクトの成果を展示したり、学会で発表ができたりと学外での活動も増えてきました。研究以外では、グラフィックデザイナーとしてKMD内のデザインの依頼を受けるなど、自分のスキルを活かして活動しています。
小川: 僕は竹芝にあるEmbodied Mediaのラボにいることが多いです。学外では学生ベンチャーのCEOを務めているので、高専時代のメンバーとアプリを開発したり、販売活動もしています。
王: 私は研究に集中したいので、就職していたときの貯金を使って、今は研究一色の生活を送っています。
万: 今は、研究のためのフィールドワークやワークショップで外に出かけることが多いので、あまりキャンパスには通っていません。でも友達と御飯を食べたりテーマパークで遊んだり、学生生活を満喫しています。
オガサワラ: KMDのプロジェクトルームでいることが多いです。プロジェクトのメンバーや研究室だけでなく他の友人とも交流しています。学外では、ガストロノミーに興味があって、いろいろな食文化にトライしています。


―KMDで印象に残っているイベントやプログラムはありましたか。
小川: Embodied Mediaでは、修士1年は毎年春学期にIVRC(国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト)に参加することになっています。4月から12月くらいにかけてコンテンツをつくって応募するのですが、私たちのチームがKMDで初めて優勝したので嬉しかったです。
王: 私も同じチームで参加しました。ものづくりのバックグラウンドがなかったので大変でしたが、先輩に教えてもらったり、普段の授業ではない密度の高いコミュニケーションができたことで、さまざまな人と親しくなることができました。
オガサワラ: 僕は、Embodied Mediaが毎年開催している展覧会「Recombinant」に参加したことです。そこでは音楽ライブやアート作品の展示がされるのですが、私は映像制作のスキルを活かしてイベント全体のオーガナイズに携わりました。来場者から反響をたくさんもらうことができ、貴重な経験になりました。
―これからKMDを目指す人に向けてアドバイスをお願いします。
山口: KMDは、自分がやりたいと思っていることをやり通すことができる場所だと思います。教員のサポートも手厚いので、やりたいことがある人にとってはいい環境だと思います。
小川: 明確なビジョンがある人にKMDは合うと思います。実際そういう人たちが入学していて、個性がぶつかりあうことによって、どんどん新しいものを生み出しています。
オガサワラ: KMDはある意味、リラックスできる場所。自由が与えられている環境があるからこそ、自分自身を見つめ、他の人たちとじっくり学びあうことができるのだと思います。
近藤: オープンマインドでチャレンジ精神を持っていることが大切です。授業も大事ですが、学生同士でコミュニケーションしているときがいちばん学べるので、この環境を活かして多方面からインスピレーションを受けてほしい。
万: 同感です。興味を持ったら、先輩でも誰でも話してみるのがいいと思います。

―将来の夢を教えてください。
小川: KMDでいろいろな人とつながり、新しいエッセンスを取り入れてきました。仲間たちと一緒に制作することに可能性を感じているので、これからも多様な人たちとものづくりをしていきたいです。
山口: 卒業後は就職先でデザインの仕事をしっかりとやり、そこで学んだことを活かして、将来的には北海道に帰って、デザインやものづくりの環境を整えたいです。
王: 仕事でも趣味でも、私にとって大切な家族や友達の幸福に貢献できるような活動を続けたいです。
近藤: 多文化かつ多様性のある環境で、デザインやものづくりを中心とした仕事に関わりたいと思っています。
万: リアルプロジェクトを通じて教育に興味を持ったので、さらに研究を進めていきたいですし、将来は教育に関係する仕事に就きたいです。
オガサワラ: 将来どんなことに取り組もうとも、平等性や世の中がよりよくなるにはどうすればいいかについて常に考えていきたいです。
スキスケカー: 今は博士課程を目指していますが、その後はソフト開発やR&Dの会社で働きたいと思っています。最終的には自分の会社を立ち上げたいです。

※ 本記事は2023年3月に取材したものです。